supertokyo に行ってきた!
渋谷DRAGON GATEで見た、次世代金融
2025年8月24日、渋谷DRAGON GATEで行われたSolana Super Tokyoに行ってきた。これは、Superteam Japan主催のSolanaカンファレンスで、Japan Blockchain Weekの一環。テーマは「Stablecoins and the Payment Revolution」。1,000人以上来てたらしい。
この記事ではこのイベントで刺激を受けたこととかをまとめてみる。
金融の液体化
カンファレンスで一番刺さったのは、金融商品の液体化(Liquidity)の話だった。
伝統金融では、株や債券を買ったら決済にT+2かかる。T+0(即時決済)はまだ夢の話。でもブロックチェーンの世界では、トークン化された資産がスマートコントラクトで即座に所有権移転する。待ち時間ゼロ。
これを聞いた時、素直にワクワクした。T+0が現実になる世界って、ただの技術革新じゃなくて、金融そのものの再定義だと思う。
Solana財団
最初のセッションはSolana財団のLu Yinさんの挨拶から。VP of Growth Globalが直接東京に来てるってことは、Solana側が日本市場を本気で見てるってことだ。
Solanaトレジャリーが日本市場を動かす、みたいなニュアンスの話があった。正直、「動かす」はまだ言い過ぎかもしれない。でも「市場を作る」段階にはもう入ってると感じた。開発者エコシステムの構築、グラントプログラム、企業導入支援。地盤を固めにきてる。
Jupiterと巨大統一市場
Jupiterの人が「From Web 4 to Giant Unified Markets」ってタイトルで話してた。Web3の次、もう「Web 4」って言い出してる。
Jupiterが構想してるのはGiant Unified Market(GUM)ってやつで、要はSWIFTとかFOREXとか断片化された金融システムをオンチェーンで全部統合しちゃおうっていうビジョン。株も不動産も暗号資産もミームコインも、全部一つの流動性プールに入る世界。「Nasdaq on-chain」を本気で作ろうとしてる感じだった。DEXアグリゲーターとして、Jupiterはその中心にいようとしていた。
ビジョンとしてはめちゃくちゃでかい。実現するかは知らない。でもこういう大風呂敷を広げられるのがWeb3のカンファレンスの面白いところだと思う。
BTCのトークン化とZeus Network
ビットコインをSolana上でトークン化するZeus Networkってプロトコルの話もあった。

Zeus Networkが発行するzBTCは、ビットコインと1:1でペッグされたトークン。APOLLOっていうdAppを通じてBTCをデポジットして、Solana上でzBTCをミントする仕組み。セキュリティはマルチパーティ計算(MPC)で秘密鍵を複数ノードに分散してるから、単一障害点がない。KYCもKYBも不要。パーミッションレス。「単なるプロジェクトじゃなくてインフラ層だ」って言ってた。
これが重要なのは、既存のWrapped Bitcoin(WBTC)が色々とゴタゴタしてるからだ。
WBTCは長年BitGoがカストディアンとして管理してたんだけど、2024年8月にBitGoが香港のBiT Globalとのジョイントベンチャーに移行すると発表した。で、BiT GlobalにはTRONのJustin Sunが関与してて、3つのカストディ鍵のうち2つがBiT Global側に移るってことで、コミュニティが大荒れした。「Sunがwbtcの準備金いじれるようになるんじゃないの」って。BitGoのCEOは「Sunは鍵にアクセスできない」って反論したけど、MakerDAOはリスク評価の結果WBTC担保の削減を決議したし、CoinbaseはWBTCを上場廃止して自前のcbBTCをローンチした。WBTCの供給量は縮小して、カストディアン依存型のモデルへの信頼が揺らいでる...ってまぁとにかくゴタゴタしている。
Zeus NetworkのzBTCが「真の分散型BTCトークン化」を謳ってるのは、このWBTCのゴタゴタがあるから。カストディアンに依存しないで、暗号学的に検証する。技術的に約束通りに動くなら、確かに革新的だと思う。
あとbtcSOLっていう新しいプロダクトも話題になってた。SOLをステーキングしてビットコイン報酬を得るやつ。SOLを持ちながらBTCポジションも構築できる。設計として面白い。
.solドメインとsns.id
sns.idの人とも話した。.solドメインのビジネス。ブロックチェーンネイティブなアイデンティティレイヤー。自分の個人開発プロジェクトに.solドメインを統合したいなと思って、開発者ドキュメントについて聞いてみた。

ウォレットアドレスの代わりに人間が読めるドメイン名を使う。Web3のUX改善の一つの答えだと思う。
フィンテック系のカンファレンスの特徴として、UI/UXを大事にするカルチャーがあるなと感じた。どんなに規約がガチガチでセキュリティが担保されてても、古臭いUIでぎちぎちの情報量を詰め込んだアプリにお金を預けたくないよね。(SBI証券とか大和証券とか最悪だしね)
DEXとKYC、規制のグレーゾーン
カンファレンスを通じて何度も出てきたテーマ。KYC/KYBと規制の問題。
PhantomみたいなウォレットやDEXはKYC不要で使える。分散型だから運営主体がない。スマートコントラクトが自動で動いてるだけ。法定通貨を扱わないから金融ライセンスも不要、というのが建前。
でもスワップやスマートコントラクトで手数料を取ったら、資金業者としての届出が必要なんじゃないか?って疑問もある。正直、今はグレーゾーンだ。スマートコントラクトは「コード」であって、運営主体が曖昧だから規制しにくい。でもいずれガチガチに規制される日が来ると思う。
日本の暗号資産交換業に登録すると、金融庁のホワイトリストに載ったコインしか扱えない。レバレッジも最大2倍。ミームコインも買えない。Binanceですら日本に登録した結果、取り扱い銘柄が激減した。規制が厳しすぎて国内市場が萎縮してる。
MEV: バリデーターの「掠め取り」
もう一つ気になった話。MEV(Maximum Extractable Value)。バリデーターがブロック作成時にトランザクションの順序を操作して利益をかすめ取る問題があるらしい。初めて知った。フロントランニング、サンドイッチ攻撃。大規模だとバレるから、小刻みにちょこちょこやってるらしい。
Solanaはブロック時間が400msと超高速だから、バリデーターが取引順序を制御しやすい。Jitoみたいな対策プロトコルも出てきてるけど、経済的インセンティブがある限り完全にはなくならない。
分散化って言いながら、こういう構造的な問題は残るんだろうなと思った。
銀行の二極化
ノンバンクとビッグバンクの二極化が進んでるって話もあった。メガバンクとネット銀行が生き残り、地方銀行は人口減少・低金利・デジタル化の遅れで追い詰められてる。KASTみたいなフィンテック企業の方が圧倒的に機動力がある。
規制に守られてる間に技術革新をサボった代償は大きい。これは日本あるあるだと思う。
お土産
お土産は今まで行ったカンファレンスの中で過去一豪華だった。フィンテックは儲かってるんだな、と素直に思った。(たこ焼きからTシャツまでもらった!)
でもそれ以上に、あの日見たスライドの美しさが印象に残ってる。KASTの黒とゴールドのグラデーション、Jupiterのミニマルなデザイン、sns.idの洗練されたUI。自分の会社の社内プレゼンとは全然違う世界。Web3のピッチは見せ方がうまい。投資家に見せる文化があるからこそ、ビジュアルとストーリーに全振りしてるんだと思う。